朝日新聞の夕刊をみて、驚いた。オヤジギャグの流行を取り上げていた。
子ども向けの漫画「怪傑ゾロリ」の主人公が、次から次へと「オヤジ」のようなつまらないギャグを飛ばし、周囲を笑わせる。子どももそんなゾロリが大好きなのだ。うちの長男も、その流行の波に完全に乗っている今時の子どもで、ゾロリの本がゾロリと本棚に並んでいる。…そんな面白くないオヤジギャグが、実は流行っている。長男がなんとも面白くないギャグを連発するので、うちの家だけかと思っていたが、実は違っていた。あの朝日新聞が、ちゃんと取り上げている。
「布団が吹っ飛んだ」「納豆がなくなっとう」…。これが長男の得意技だ。
いつか、このギャグをかましてやろうと、いきがったことがあった。カミさんの弟が、結婚を前提に付き合っている彼女を初めて実家につれてきた日。私が「みんな、多分緊張して、何を話していいのかわからなくなるから、お前がギャグで場を和ませろ」と言うと、自分に役割が与えられたのが、うれしかったのか、張り切った。
「じゃ、怪獣がいるのは世界中。これを使おう」と本番に臨んだ。
さて、本番。やはり、というとわざとシーンという状況にさせて、長男をせっついた。長男はその女のひとに向かって「面白いことを言ってやろうか」といって切り出した。
「恐竜がいるのは…」 「ん?」 「何か違う」
長男なりに緊張していたのか、張り切りすぎたのか、「怪獣」と言うべきところを「恐竜」といってしまった。身なりは同じようなものでも、ギャグとなると、まったく意味がなくなる。
「恐竜がいるのは、世界中」といってもギャグにはならない。当然、長男は途中で止めると、下を向いてなき始めた。まだ7歳。こちらは、長男らしくて、おかしくて、逆に腹を抱えて笑うことができたが、長男は「ヒーロー」に鳴り損ねたと思っている。
怪傑ゾロリに魅せられた長男は、それでもこりずに新しいギャグを考えている。